ハリネズミの子宮疾患(子宮内膜増殖症) 2023.10.18

血尿が出ているという主訴で来院されたヨツユビハリネズミのシロちゃん。
未避妊の女の子なので子宮から出血を疑いました。超音波検査から子宮陰影が確認でき、血液検査では貧血が見られたため、子宮と卵巣の摘出手術を緊急で行いました。

吸入麻酔薬で鎮静をかけます。

 

生体モニターを設置し、毛刈り、消毒後、皮膚、腹壁切開を行いました。

子宮は特に右側が腫大しておりました。

卵巣周囲の血管の処理は当院では血管のシーリングマシーンを使用します。

ハリネズミさんなどの小さな動物に対しては1秒でも早く手術を終わらせるため、このような機器を使用しております。

卵巣の処理が終わった状態です。子宮の部分は縫合糸にて結紮し、子宮卵巣を摘出します。摘出後、出血の有無を確認して閉腹します。

閉腹後、皮膚縫合をして手術終了です。危険な状態でしたが、麻酔は安定しておりました。

摘出した子宮卵巣を確認すると内部がパンパンに腫れていました。

病理検査の結果、「子宮内膜増殖症」という病気でした。腫瘍性の疾患では無かったので一安心。
ですが、手術をしないままだと、貧血が進行して亡くなっていた可能性が極めて高いです。
女の子で未避妊のハリネズミさんやウサギさんで血尿が見つかった場合は、急いで動物病院に行くべきだと再確認させられた症例でした。

現在、シロちゃんは間一髪のところで手術と麻酔にも耐えてくれて、術後は元気になってくれてモリモリごはんを食べてくれてます。