食欲が全くないとの主訴で来院されたウサギ(ホーランドロップ)のマシューちゃん。
腹部触診および腹部レントゲン検査にて、おなかが張っており、
消化管うっ滞を疑って胃腸薬の注射と点滴治療を行いました。
ですが、翌日全く改善してないとのことで再度来院。今回は血液検査と腹部超音波検査を実施。
血液検査では貧血、肝臓の数値の上昇の所見が見られ、
超音波検査では一部の肝臓領域で血流の確認が認められませんでした。

飼い主様にはマシューちゃんの肝臓がねじれて(捻転)、そこから出血して貧血気味。
ねじれた肝臓のせいで肝臓の血液検査の数値が上昇したと思われると説明しました。
肝臓の一部がねじれてしまったので、その肝臓(肝葉)に血液が行かなくなって、
超音波検査では血流が認められなかった可能性があります。
すっと出血が続いてると命に関わるので肝葉切除の緊急手術を実施しました。
開腹時、肝臓の状態を確認すると肝臓の色が悪くなってる部分を発見しました。
ウサギの肝臓は6葉に分かれていて、
その内の尾状葉(約60%)と外側右葉(約30%)で捻転の発生が多いと言われてます。
今回は尾状葉の捻転でした。
慎重に出血部位や肝臓の根元を確認して肝葉の根元で縫合糸をかけて結紮します。
結紮後、可能な限り根元で切除。
止血確認。他に出血や他の肝葉の確認をして閉腹します。
摘出した肝臓は明らかに色が悪く。切断面も変色しておりました。
病理組検査の結果「出血壊死」
捻じれて血が行かなくなってしまってたのがわかりました。
術後は麻酔からの醒めも良く。次の日から食欲も戻ってきました。
2週間後に抜糸した際も縫合部の状態も良好でした。
ウサギの肝臓は個体差があり犬猫より細長かったりします。
これを肝臓の葉間裂が深いと言い、肝葉捻転を起こしやすいと言われてます。
症状がよくある消化管うっ滞と似ているため見逃してしまうことも多いです。
見逃してしまうと出血が続き命の危険性が出てきます。
今回の飼い主様にも良くならなかったら必ず連絡くださいとお伝えしてて、
次の日に来てくれたので間に合ったのだと思います。
これからもこの病気の可能性を常に考えながら診察していきたいと思いました。
マシューちゃんが元気になってくれて本当に良かったです。


